日本語教師ブログ – モンゴル編「ウランバートルの空に」vol.25

日々奮闘! あっという間の2ヶ月間【番外編】

こんにちは。重政ゆかりです。今回は番外編として、私が担当いたします。

私は9月頭より中学生の6・7・8年生の授業を毎日受け持ち、途中から2年生のクラスに週2回入りました。毎回クラスの雰囲気・様子は異なり、手探り状態のまま、あっという間に2ヶ月が経ちました。振り返ってみると1学期は日本語を「教える」ということがほとんどできず、学生から色々なことを「教わること」だらけ。準備していった授業ができず、訳のわからないまま終わってしまった感があります。

使っている教科書は「にほんごできるモン」というモンゴルにおられた日本語教師たちが作られたもので、モンゴル語が教科書に書かれている唯一のもの。内容も自分で文法を考えさせるなど、とても工夫が凝らされていて、よくできた教科書です。ところが、教師がどんなにいいと思っても、学生たちにとっては、やはり教科書は教科書。決して面白いものではないようでした。

教科書は教師にとっては進行の目安、カリキュラムの作成、試験の時にも便利なので大変ありがたいのですが、本来は自分オリジナルの授業を組み立てるのがやはり基本。ちなみに1学期終わった時点で、まだ教科書を買っていない子も結構いました。これは中国ではありえなかったことなので、さすがにびっくりしましたけれども、教科書をもう少し研究して、上手に使いこなしながら、2学期に備えたいと思っています。

1学期は6年生には生徒たち自作のオリジナル「ひらがなかるた」作りと漢字に対してとても好奇心があるようだったので「漢字かるた」を作ってもらいました。毎回授業の終わり少し前の時間になると「先生、カルタ!」ということになり、ゲームに熱中。それはそれで、語彙力には多少貢献していたようであります。2学期は苦手なカタカナかるたも作る予定で、他の学年でも作ってみようと思います。

7年生は22人中、新入生が9人。仕方ないので苦肉の策(?)で、歌を導入しました。これは意外にも大成功。あっという間に何も言わないのに暗譜までしてくれ、いつも笑顔ですごく楽しそうでした。授業の最初か最後に必ず一回、歌うとクラスがまとまり、大変いい雰囲気になります。曲はいくつか試しましたが、今学期は「365日の紙飛行機」が彼らの一番のお気に入りでした。

8年生には多読精読の授業を試みました。来たる12月のJLPTではN5受験者がクラスの三分の一、N4~N1受験者が三分の一、新入生三分の一だったので、同じ授業時間内での指導には、なかなか骨が折れました。少しクラスがうるさくなっても構わないので、前からいる学生には読書ノートをつけることを覚えてもらい、その間、私は新入生にひらがなから教えることに専念しました。

日本語の本に興味を持ってくれたようで、2学期に向けて学校の図書室を漁り、またいろんな本を探して本を読んでもらい「書いてまとめて発表」まで、つなげてみようと思っています。

クラスは正に「なまもの」。昨日ものすごく騒いだから今日はルールを徹底してもらうべく「叱るぞ!」と心を鬼にして意気込んで教室に入ると、やけにしおらしく拍子抜けした日もありました。男子と女子がものすごい声を出して喧嘩をしていたり、消しゴムやらペンやら紙クズがいつも空中を飛び交っていたり、走り回っている子、取っ組み合いする子。泣いてる子もいれば、我関せず漫画をひたすら描くのに熱中している子・・・。

一応授業準備をしては行きますが、正直今日は一体何が彼らの身の上に起こっているのか、飛んだり跳ねたりしている子どもたちの顔を想像しながら、毎日ハラハラドキドキしながら教室に向かいました。声は完全に2週間で潰れました。彼らのエネルギーには到底勝ち目はありません・・・。

日本語教師としては、課題をこなすのが半分で、あと半分は子どもたちの興味を手探りしながら、日本語へ親しみをもってもらうよう日夜奮闘中。。。というと聞こえはいいのですが、実際土日は一度も授業準備などする暇がないほど、学校のイベント続き。そして食料買い出しと洗濯と掃除で休日はすぐに終わってしまいました。

期末試験後、保護者会があり、突然呼ばれて6年生と8年生の子どもたちの父兄にお会いすることができました。教育に関して、おそらくどの国でも同じでしょうが、我が子の勉強のことには並々ならぬ関心があるようでした。自分の子どもの日本語のレベルはどのような様子か、熱心に質問されておられました。思ったより年配の父兄の前で少し緊張しましたが、親御さんと是非協力してやっていきましょう〜という姿勢を訴えたおかげで(?)ニコニコしてくださり、ホッといたしました。

失敗したなあと思ったことを一つ。期末試験で自己紹介の口述試験をした時「家族は何人ですか?」と何気に聞いて「先生、どこまでを家族といいますか?」と逆に聞かれ、ハッとしました。モンゴルでは日本に比べると寿命が短く離婚も多いことは知ってはいましたが、つい先日お父様が他界されたとか、海外で親が働いていて、今おじさんおばさんの家に居候しているとか、祖父母が子どもの面倒をみるという生徒が想像以上に多いです。

「家族」というのは日本の統計の基本では今も「両親と子供」ですが、学術的には「何を家族というか、家族の、絶対にこれといった定義はない」と大学院で習ったことをにわかに思い出しました。「お父さんは何歳ですか?」なんて質問は、しないほうがいいなあと感じました。

立ち往生してしまった授業は、日本語の歴史を簡単に説明していた時のこと。導入として「日本人にも蒙古斑があるんだよ〜」と地図を書きながらお尻をさわって説明していたら、突然クラスが「エーッ!」となって騒然。大きな声で何かモンゴル語で言いながら、グルグル走り出す子が続出!私は15分くらい何もできずに、ぼ〜っと突っ立ったまま唖然。

私の話のいったい何がどう伝わってしまったのか?この反応は、なになに?「どうしちゃったのー!?」「みんなー、席に戻って〜!」今もって原因がわかりませんが、漫画のような光景でありました。

途中編入生徒の多い元気の良すぎるクラスに、一度モンゴル人の先生にも入っていただいた時、相談して『大きなかぶ』をやりました。この話は初めての生徒でも、動物が出てきて親しみがもて、セリフも短く簡単なので、積極的に「やりたい!」と手が挙がりました。ペープサートを体のどこかにつけてもらって、はじまりはじまり。最後に「スッポーン!」と「かぶ」が言いながら抜けるところで、皆、大爆笑。「よくできました!」といえる、思い出に残る、楽しい授業でありました。

子どもたちは、本当にかわいいです。かわいすぎて時に憎たらしくなることもありますが、いたって健康的です。なんといっても笑顔が最高!自分を振り返ると甚だ心もとないですけど、「よい大人」に育てるお手伝いを微力ながらさせていただける幸せを感じています。2学期は一体なにが起こるのか、乞うご期待!?

vol.26に続く

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