日本語教師養成講座 修了生 新任講師スペシャル対談【第3回】

全3回に分けてお送りしているスペシャル対談企画の最終第3回目です。

第1回はこちら。
第2回はこちら。

以下の3名の講師に対談いただきました。

川村さん(写真左) 鈴木さん(写真中央) 櫻井さん(写真右)

2017年  4月 TCJ日本語教師養成講座(420時間コース)に入学。
2017年10月 同コース修了。直後よりTCJ日本語クラスで日本語教師として働き始める。

養成講座受講生時代より努力を惜しまず非凡なセンスを見せていた(本当に!)優秀な3名の教師。
デビューして半年、現在2期目の授業を受け持っています。

どのような想いで教壇に立っているのか、TCJ講師としてそこまで言ってしまう!?といった辛辣でリアルな内容を包み隠さず打ち明けていただきました。

日本語教師を目指している方にとっても、既に日本語教師として活躍されている方にとっても、非常に為になる対談内容です。

セクション3:養成講座で学んだ中で特に役立っていること【実技編】

司会:他に、養成講座で学んだ中で役立っているものはありますか?

櫻井:私はやっぱり実技ですね。文法も音声も役に立ちましたけど、実際に自分達で教案を作って、模擬授業をやって、先生やクラスメートからフィードバックをもらってっていう、実技授業をやったのが一番役に立っているなって思います。もちろん留学生相手への教育実習も役には立っているけど、それよりも、週に2回、必ず誰かが模擬授業をやって、それを見てあれこれ考えて、教案を練り直してというのが一番良かったかな。

鈴木:本当そうですね。

櫻井:ちなみに、うちのクラスは毎週やってました(笑)。空き教室を予約して。授業後いつも残ってたの知ってますか?うちのクラス。

鈴木:何も知らない(笑)

櫻井:最初は週1だったんですけど、途中から週2になって、模擬担当日前は毎日借りていました。

鈴木:すごいですね!

櫻井:授業でピアラーニングやったじゃないですか。皆で「これいいね」って話をしていて。でも授業を受けて何となく頭には入ったけど、腑に落ちてないことってあるじゃないですか。それを皆で共有して、納得のレベルまで持っていけたっていうのはすごい良かったなって。授業の勉強とはまた別の領域なんですけどね。

川村:素晴らしいですね。

櫻井:あと、来週模擬授業あるから、皆に今週のどこかで見てって言って(笑)。皆からアドバイスもらって、教案練り直して、それで模擬をやって、その上で先生にダメ出しもらって。あと、先生から「これは採用試験対策にいいよ」「これ大事にしなよ」って言われる度に、皆で手分けして、模擬授業やったみたりとか。

鈴木:すごい。

櫻井:それだけ自由に勉強できる環境というか、場所を提供してもらえる状況って本当に恵まれてるなと。他の学校だとあまりそういうのはないみたいで。あと、TCJの日本語クラスの先生達が、ふらーって教室を覗いてくれたりして、養成講座の先生じゃないのに、わからないことがあったら誰でも教えてくれる。嫌な顔せずに、すごい助けてもらいました。そんな環境ってそうそうないなって思っています。

鈴木、川村:素晴らしいです。

櫻井:養成講座クラスの先生が「またやってるの?」って(笑)。量は相当こなしました。だから「導入」の引き出しは結構あるんですよね。

パターンに即した教授法

櫻井:模擬授業って導入にかなりの時間使わなかった?

川村:使いました。

鈴木:ほとんど導入。でも基本的に勉強をするやり方としては、まず導入があって、文型を提示して、それから色々文法的な説明をする。そこから、ミムメム(反復練習・繰り返し練習)というか、活動という形でどんどんやっていくという。

櫻井:模擬授業は20分でしたけど、実際の授業は3時間。でも一つのパターンを教えてもらっているから、なんとかなるんでしょうね。

鈴木:そうですね、パターンですね。でも中級になるとパターン使わないんですよね。

櫻井、川村:使わないですね。

櫻井:結局パターン使うのは初級くらいですね。トライ(TRY N2:中上級の教科書)なんかパターン関係ないもんね。

川村:例文を自分で準備していって、説明して、問題っていう流れになっちゃいますもんね。

櫻井:みん日のやり方として、例文とシチュエーションをわからせれば、問題はあってもなくてもいいよね、みたいな考え方をTCJで教えてもらうじゃないですか。そこが良いなって。こうやって教えればいいってわかるんで。

鈴木:そうですね。ただ、例文とかシチュエーションをいっぱい考えなきゃいけないじゃないですか。

櫻井:凄い量ですよね。

鈴木:それもあっちこっち全然違う方向の話で。初級だったら、一つの話題でこの場合はこの文型、この場合はこの文型という形でやれるけど、中級だと全然異なる複数の話題ごとだから。

櫻井:10分、15分の区切りでひたすら。

鈴木:そうそう。話題ごとに用意しないといけないんで、これは、ちょっと凄まじいなって。

櫻井:何をやっておけばよかったんですかね。

川村:なんでも良いからもっと勉強しておけばよかったな(笑)

定着化させることの重要性

櫻井:あと、養成講座の先生達からたくさん本を紹介されたんです。でも買ったものでもまだちゃんと読めてない。養成のときは養成の時でいっぱいいっぱいのつもりだったから「今時間がないから、今度今度」って。でもあの時の自分に言ってやりたい「今しか時間ないよ」って。

鈴木:もっとやっておけば良かったていうのもあるんだけど、今考えると、それをどうやって定着させるかってことなんですよ。

櫻井:それですね。確かに全部教えてもらってるんですよね。

鈴木:きちんと使いこなすために、時々引き出しの中に何があるのか、ひとつひとつ把握しながら整理しないと。養成講座でせっかくあんなにいっぱい良いことを教えてもらったんだから、それをどうやって使えるようにするか、ってことかなと僕は思うんですよね。

川村:最終的にアウトプットができないと意味がないですもんね。

櫻井:そう。学生にはいつもそう言ってるのにね(笑)

川村:そうですよね。自分が使えてないですもんね。

鈴木:ブーメランみたいに全部自分に返ってくる。あと音声なんかでも、例えばベトナム人の発音やイントネーションの直し方とか、そういうことも勉強してるんです。そこそこ耳学問的には入ってるけども、それをちゃんと体系的に扱えるところまでは行ってない。

櫻井:行ってないですし、その時間がなくないですか?

川村、鈴木:ないです。

櫻井:養成講座の時は絶対に直させるものだと思ってたけど、実際の授業の時には、話しを止めさせないために直さない方がいいかなって時もあったり。

20人クラスを受け持つことの難しさ

鈴木:今僕のクラスではやってないけど、音読って個別にやってます?

櫻井、川村:やってないです。

川村:音読の授業はないけど、読解をやらせてそれを読ませています。

鈴木:別の学校では音読もやるんですよ。音読で1つのコマを使い切ることはないけど、半分ぐらい使って、こちらが読んで、全員で読ませて、その後個別でやっていく。個別の時に都度イントネーション、アクセントを直すっていう。

櫻井:そのための授業を作ればできる。

鈴木:うん。それは大事だと思うんだけど、20人いるとそんな時間はかけられない。

櫻井:一人30秒でも10分かかりますもんね。

鈴木:一人一文でそれだけですからね。

川村:大学受験のことを考えて、話す能力を養うために知識を詰め込ませる、っていうのもあって。

櫻井:大学進学クラスだもんね。

川村:はい。喋らさせたほうが良いのもわかるんですけど、どうしてもスケジュール上、教科書をここまで進めないといけないっていうのもあって。読解の時間で音読表を配って、「じゃあ読みましょう」って一文ずつ読ませるというのが、今できる精一杯かなって。

鈴木:そうなってくると、発音とかそこら辺まで直し切れないですよね。

川村:漢字の読み方を間違えたら「違うよ」って、最低限それくらいですね。

櫻井:これも(最初のテーマの)理想と現実ですね。

クラスメート同士の模擬授業がアドバンテージになる

鈴木:養成講座時代は良かったなってことで(笑)

櫻井:本当にTCJで良かったって思いました。やっぱり、様々なことを実践できる場って大切。

川村:周りの人からネタがもらえるっていいですよね。自分一人だと煮詰まっちゃって、いつも同じネタの繰り返しになりがちで。色んな人のアイデアを覗けるので、先生のアイデアももちろんそうですが、他の人の考え方を貰えるっていうのはすごく良かったなって思いますね。

櫻井:「そのアプローチいいわ」って。

川村:ありますね。「そういう風にやるのか」っていうのはかなりありました。

鈴木:アイデア勝負でしたね。

櫻井:グッズ使ったり、フラッシュカードや絵カードも作りましたね。

川村:作りましたね。

鈴木:もう一度初級の頭からやるなら、そういうこともやらなきゃいけない。

櫻井:初級やりたいけど、15課ぐらいがいいな。1課とか自信がないです。ティーチャー・トーク(相手のレベルに合わせて、語彙、文型、発音などに意識的に工夫をこらした話し方)できない気がします。

川村:私もできないと思います。

櫻井:ある程度難しい言葉使わないようにはもちろんしますけど、あえて言ってみて、反応がなかったら言い換えるとかできるじゃないですか。

鈴木:できますね。

櫻井:それで慣れて来ているので、もうティーチャー・トークできないかも(笑)

セクション4:あなたにとって日本語教師とは?

司会:皆様、もう撮れ高は十分です(笑)。話足りないと思いますが、そろそろ締めたいと思いますので、最後に、皆様にとって日本語教師とは何かを教えてください。

学生を通して教師が成長させられる

鈴木:僕は、とにかく今楽しいです、非常に。人前に出て話をするっていうことがやっぱり刺激的で、インタラクティブじゃないですか。できる、できないもあるけれども、いい刺激を貰っているなって。

櫻井:楽しいですよね。やっぱり、すごく楽しい。

川村:学生に勉強を教えることで、自分も成長できるなっていうのは感じますね。わかりやすく伝えるためには、こっちも知識を都度仕入れて、更にわかりやすくアウトプットする手段を身につけないといけないから、そういう勉強面ももちろんそうだし。

櫻井:うんうん。

川村:今私大学クラスなので、「進路迷ってます」とか「経済学と日本語学どっちがいいと思いますか?」っていう相談が来ます。「あなたがやりたいのはどっち?」って聞くと「家族は経済学を勧めるけど、自分は日本語学をやりたい」って。じゃあ「自分のやりたいことをやった方が後で後悔しないよ」って。そういうやりとりで私も成長させられて。

鈴木:良いですね、それ。そういう会話をしたかった。後は、やっぱり少しでも日本語をわかってくれた時が楽しいですね。

櫻井:それすごい思う。

川村:学生から正しい言葉を引き出せた時に「通じた!」っていう。

櫻井:すごいわかる。説明している時に、うんうんみたいな顔をされると「ああ、わかってくれた」みたいな。それがクラス全体でってなるともうすごい嬉しい。

川村:一番嬉しいですね、それは。

鈴木:授業の終わりがけに「先生、今日楽しかった」って言ってくれたことが2、3回あって。

川村:それはすごい嬉しい。

鈴木:すごい励みになりましたね。

櫻井:それはなるね。

試行錯誤の連続

鈴木:私の経験談で言わせて頂くと、面白いなって思ったことは、ある意味で、捨てることなんですよ。捨てるっていうのは、皆にやってもらうことを捨てるというような意味もあって、よくやってるのは要約です。

櫻井:それは文章の?

鈴木:文章の。「中級からの日本語」だと本文に対して、質問が8個くらいあるじゃないですか。他校だと、あれ結構きっちりやるんですよ。本当は全部学生に考えさせなきゃいけないんだけど、考えろって言っても、なかなか難しい。10分、15分で1~2問くらい。

櫻井:そうでしょうね。

鈴木:だから、このグループは1問目、このグループは2問目、このグループは3問目っていう形で、その中で相談させながらやらせる。代表が前に出てきてホワイトボードに書く。なぁなぁでもとにかく書かせる。そうすると、結構皆わーわー言いながら「お前行けよ」ってやったりする。そういう感じのインタラクションを作ったり、とにかく頭と体を動かす形にすると上手くいく時があるんで、色々試行錯誤しています。

櫻井:こないだ、学生達にインタビューさせたんですよ。日本人の結婚観と恋愛観について、グループごとで質問作らせて、質問項目を練習して。金土日でインタビューをさせて、今日それをまとめて発表する日だったんですけど。

鈴木:すごいじゃないですか。

櫻井:ちゃんと自分達で考えてインタビューしてきたから、しっかり発表してくれて。きちんと1個仕上げると、やる気がすごい出るんだなって思って。

鈴木:いいですね。

櫻井:今回は、敬語の練習、インタビューの仕方、文章をまとめる力とかを複合的に勉強させてみようと思ってやったんですけど、案外楽しそうでしたね。

鈴木:素晴らしいですね。

櫻井:これは使えるなって。

鈴木:まだ1年目でしょう。それでそこまでできるのは素晴らしいですよ。

櫻井:インタビューして大変だった?って聞いても「全然、友達に聞いた」とか「もう一回やってもいい?」とか。まんざらでもない顔で。

司会:皆様、「あなたにとって日本語教師とは?」を・・・

一同:(笑)

日本語教師とは

櫻井:TCJの日本語教師限定になっちゃうかもしれないですけど、その、すごい濃密なんですよ。今後の人生を変えかねない時間というか、自分の人生や日本に対する思いとか。そこに立ち会えるっていうのがすごく幸せだなっていうのがあって。こっちが全力でぶつかれば、向こうも全力で来ますよね。その掛け合いが日本語教師なのかなって。だから絶対に嘘は教えちゃいけないし、精一杯教えなきゃいけないなって。

鈴木:ですね。櫻井さんにとっての日本語教師とは?

櫻井:今のは学生にとっての話か(笑)。私にとっては、しあわせ、かな。駄目?

鈴木:いいですよ(笑)

櫻井:教案考えるのが結構楽しくて。生徒の顔浮かべながら、こう言ったらきっとわかるよなーとか、この例文は誰々くんに聞いて、誰々さんにも振ろうとか思いながら作る。全員がわかってくれた時の嬉しそうな顔を見て「あぁ嬉しい」って想像したり。自分のやったことが見える形ですぐ返ってくるじゃないですか。手を抜いたら、すぐバレるし。そういうのが嬉しい。しあわせ。

鈴木:自分の努力のバロメーターですよね。

櫻井:鏡みたいですね。すぐ返ってくるから。

鈴木:川村さんは?

川村:私にとって、日本語教師とは自分自身を成長させ続けてくれる職かな。正に鏡というか、生徒に教えるために、先生達も成長しないといけない。共に成長していく。

鈴木:本当ですよね。二人の話を聞いて、本当にそうだなって思った。こんな商売他にはないかもしれない。本当に鏡ですよね。自分が頑張れば相手も頑張ってくれるし、自分が頑張らなかったら相手も頑張らない(笑)。人生そのもの。

司会:皆様、ありがとうございました。とっても素晴らしい対談でした。これから日本語教師になろうとしている方にとっても、既に日本語教師として活躍されている方にとっても刺激的で意義深い内容になっていると思います。

一同:ありがとうございました!


この後、少しお酒を入れての延長線がありましたが、その内容はその内機会がありましたらお披露目いたします。
3回に渡っての対談内容をお読みいただき、ありがとうございました。

この対談は「ありのまま」をテーマに掲げ編集いたしました。
新任教師としてTCJで働いている3名の、嘘偽りのない言葉です。

ぜひ、3名のように、大きな信念を持ち、懐深く学生と向き合える教師を目指してください。

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