養成講座を受講する前と修了した後では、見える世界が全く異なります。この1年で、日本語教師という資格以上に、たくさんのものを得ることができました。

夫の仕事の関係で今後海外に住む可能性が高いので、日本語教師の資格を取ることにしました。日本語教師であれば、専門性を身につけながら、日本でも海外でも働くことができると考えたからです。また、学生時代から「言語」と「教育」に関心があったのも、日本語教師を目指した理由の一つです。

事務の方の対応が一番丁寧だったのがTCJでした。また、授業を欠席した場合の振替制度や、3年間の再受講制度、検定対策ゼミなど、様々なサポート体制が整っているのも魅力的でした。

クラスについて
日本語教師という大きな目標に向かって、みんなで切磋琢磨している雰囲気が好きでした。模擬授業や教育実習の前は、チーム内で互いの授業を見て、アドバイスし合うことで、授業の質を高めることができました。他の人の授業であっても、まるで自分の授業のように真剣に取り組むクラスメイトと出会うことができ、恵まれた学校生活でした。
修了してからもクラスメイトとの交流が続いています。

スケジュールについて
私ははじめ半年コースで入りましたが、途中で1年コースに変更しました。半年コースのときは、日々の予習と復習や、模擬授業の準備に追われる毎日でした。朝6時に起きて夫のお弁当を作り、午前中の2時間くらいで家事を済ませ、学校に行くまでは予習タイムです。学校から帰って夕飯を済ませると、今度は復習タイム。だいたい21時頃まで机に向かい、23時には寝ていました。私は自宅から学校までが遠く、片道1時間以上かかっていたので、電車に乗っている時間もうまく利用しながら勉強していました。
1年コースに変更後は、通学を週1～2回にしたので、じっくりと学ぶことができました。自由に使える時間も増えたので、今しかできないことに色々チャレンジしました。

模擬授業について
実技の模擬授業の準備は本当に大変でした。はじめの頃は、教案を何度も書き直し、文字カードや絵カードを作っていると、どうしても準備に1週間以上はかかっていました。15分程度の模擬授業の準備に相当な時間をかけていました。日本語教師として働き始めたら、45分の授業を週に何コマも担当することになるので、準備にあまり長い時間をかけることはできません。そこで、養成講座の後半では、「模擬授業の準備に時間をかけ過ぎない」ことを目標に取り組みました。その結果、集中して効率よく準備を進めることができるようになりました。

教壇実習について
それまでは、日本人相手の模擬授業しか経験していなかったので、「留学生相手に本当に教えられるのだろうか」という不安な気持ちがありました。しかし、実際に実習をやってみると本当に楽しくて、「この時間が終わってほしくない」と思うほどでした。教案通りにいかない場面もありましたが、そのようなハプニングも楽しみながら授業をすることができました。
教壇実習を行ったクラスでは、学生たちの実生活で役に立つことを教えたいと思い、色々と小ネタを仕込んで実習に臨んだのですが、学生から予想以上の良い反応が返ってきたのも嬉しかったです。みんな淡々と授業を受けているのかなと思ったのですが、些細なことでも反応してくれて、とても協力的なクラスでした。

この1年間色々と考えた末、養成講座修了後は国際協力の分野で就職することを決めました。日本に住む留学生や外国人中学生、海外の日本語学習者たちと触れ合うにつれて、彼らの国そのものを支える仕事をしたい、と思うようになったからです。養成講座を通して多くの学びや出会いがあったからこそ、このような決意に至りました。日本語教師という仕事には就かないものの、これからも何かの形で日本語教育にはずっと関わり続けたいと思っています。特に年少者への日本語教育に興味があるので、地域のボランティアなどを通して日本語支援や進学支援に携わり、子どもたちの未来を拡げるお手伝いができればと考えています。

養成講座を受講する前と修了した後では、見える世界が全く異なります。私はこの1年で、日本語教師という資格以上に、たくさんのものを得ることができました。皆さんが最終的にどのような進路を選ぶにしても、養成講座での経験はその後の人生を必ず豊かにしてくれると思います。このTCJで素晴らしい時間を皆さんが過ごされることを願っています。