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教授法(〇〇メソッド)とは?一般的な教授法を解説

概要

みなさんは、日本語教育における「教授法」というとどのような言葉が浮かぶでしょうか。「〇〇メソッド」などの用語を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。

今回は日本語教育においてよく知られている教授法をまとめました。

目次

教授法とは

まず、教授法とは、基礎となる教授理論教育目標の設定方法主な学習活動などを含めた外国語教育に関する考え方のことであり、学習者が効果的に日本語を習得できるように、教師が用いる教え方の理論や実践方法を指します。

それぞれの教授法には、背景にある言語観や学習観が異なり、どの方法が「正解」ということはありません。

むしろ、学習者のニーズや目標、学習環境に応じて、最適な方法を選び取ることが大切なことだといえるでしょう。

一般的な教授法

●文法訳読法

文法訳読法は、教師が語形変化や動詞の活用など文法のルールを提示し、学習者はその文法の知識を手がかりに外国語の文を翻訳することで外国語を理解する方法です。

文法翻訳法対訳法とも呼ばれ、授業中は媒介語を多く用いることが特徴です。

リスニングやスピーキングは重視されず、文法規則の応用として作文が行われます。

17世紀から18世紀のヨーロッパではギリシャやローマの古典が読めるようになるために、ラテン語が教えられており、教授法と名の付く前から使用されてきた教授法です。

 

●直接法(ダイレクト・メソッド)

母語を使わずに、外国語で外国語を教える教授法全般を指します。

例えば、教材はすべて日常の話し言葉を使用することや、母語をその概念と直接結びつけることが挙げられます。

そして、その手段として、絵やジェスチャー、例文などで意味を伝えることが多いです。

国内の日本語学校で一般的に使用されているのが、この直接法です。

次に説明するナチュラル・メソッドや、オーラル・メソッドなども直接法に含まれます。

 

●ナチュラル・メソッド

19世紀後半から20世紀半ばにかけて外国語教授法の主流となっていた文法訳読法に代わり、音声能力を身に着けることを重視され生み出されたのが、ナチュラル・メソッドです。

19世紀後半の外国語教育改革運動の中から、ナチュラル・メソッド系列の教授法及びダイレクト・メソッド系列の教授法は生み出されました。

文法訳読法を排除しようとする動きの中で生み出された教授法のため、文字言語よりも音声言語を優先させ、翻訳を排して口頭による言語活動に重きを置いています

ナチュラル・メソッドには代表的なメソッドが2つあります。

グアン・メソッドや、グアン式教授法、シリーズメソッドと呼ばれるサイコロジカル・メソッドと、ベルリッツが提唱したベルリッツ・メソッドです。

 

●オーラル・メソッド

オーラル・メソッドは、口頭作業を中心とした外国語教授法全般のことを指すこともありますが、日本ではパーマーが開発した教授法を指すことが多いです。

音声言語の優位性を理論づけ、入門期に文字をまったく見せずに徹底的な口頭訓練を行うことが特徴です。

文字の導入後も「聞く→話す→読む→書く」という段階を重要視しています。

日本では、長沼直兄が日本語教育に応用して「問答法」を開発し、日本においても、オーラル・メソッドは広く知られるようになりました。

また、場面教授法オーラル・メソッドの延長線上にある教授法で、文法知識と場面の結びつきを重視し、導入・練習は運用可能な場面と結び付けて行われます。

 

●オーディオリンガル・メソッド

オーディオリンガル・メソッドは、ミシガン大学のフリーズが提唱した教授法です。

行動主義心理学や、アメリカ構造主義言語学を理論的背景につくられました。

日本ではオーラル・アプローチの名称で知られ、戦後の英語教育に最も大きな影響を与えたといわれています。

音声言語の優先、語彙数を制限して音韻と文法の習得に重点を置くことで、入門期から話すことを重視した教授法です。

ミムメム練習パターン・プラクティスなど反復練習を多く取り入れたことなどに特徴があります。

これは、音声言語の指導が重視され、文字言語の指導は言語学習がある程度進むまで控えるべきだという考え方に基づいています。

日本語学校で一般的に使われている直接法のメリット・デメリットは?

日本語学校では、学習者の国籍が複数にまたがるため、共通の媒介語がない場合が多く、直接法で教える場面も多いのではないでしょうか。

まずメリットとして、日本語の概念のまま言葉や文法を理解できるということが挙げられます。

日本語とは全く異なる言語習慣や思考法を持つ学習者にとって、媒介語を使わない直接法は、日本語に早く慣れるために使用されることが多いようです。

特に母語にはない概念、言葉が日本語にあった場合、媒介語を用いることでかえって混乱するということもあります。例えば日本語の「割れる」「壊れる」は英語にするとどちらも「break」で、翻訳だけだと区別が難しいですが、日本語ではどのようなものが「割れる」でどのようなものが「壊れる」と言われるのか、直接法で多くの例から学ぶことで理解しやすくなります。

ただデメリットとして、媒介語を使用しないことで、日本語を学ぶ時間が長くかかるということが挙げられます。

例えば短期間しか日本にいないため、日常会話が少しできればよいという学習者にとって、日本語の習慣や思考法から学ぶより、母語に対応する媒介語を使用することで、すぐに会話ができるようになるかもしれません。

マンツーマンで教える場合は、産出は日本語で、文法の説明は適宜媒介語でというように学習者のニーズやビリーフにしたがって指導できたらよいでしょう。

世界の多くの国で使われている文法訳読法のメリット・デメリットは?

最近はコミュニケーションを取ることに重きを置かれつつあるようですが、未だに日本の中学や高校で行われている英語教育の方法として文法訳読法が多いのではないでしょうか。
教師側のメリットとしては、コミュニケーション能力がそれほど高くなくとも指導できるということが挙げられます。また学習者側にとっては文法の規則や構造についての理解を深めながら学習できるというのがメリットといえるでしょう。

ただ口頭練習は一切行われないため、コミュニケーション能力が身につかないというのがデメリットでもあります。

まとめ

日本語を教えている皆さんは、この記事でご紹介した教授法を使ったことがありましたか。

どの活動がどの教授法に当てはまるか考えてみると新たな発見があるかもしれません。

日本語教育能力検定試験や登録日本語教員試験などの対策の際は、背景を考えながら勉強してみてはいかがでしょうか。

参考文献

ヒューマンアカデミー(2019)『日本語教育能力検定試験 分野別用語集』 翔泳社

西口光一(1995)『日本語教師トレーニングマニュアル4 日本語教授法を理解する本 歴史と理論編 解説と演習』バベル・プレス

谷守正寛(2016)「日本語教育における媒介語活用の課題と考察」『言語と文化』20, 81-102

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この記事の筆者
TCJ日本語講座 非常勤講師
蔭山 佑佳
教育IT業界にてWebマーケティング業を経て、国内日本語学校で非常勤講師、公的機関で日本語教育に携わったほか、技能実習生などにオンラインで指導を行う。現在はビジネスマンや児童に日本語を教えており、日々幅広い年代の学習者と向き合う中で、日本語指導の奥深さを感じている。学習ストラテジーや自律学習に興味あり。

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