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授業準備って何をするの?

目次

概要

日本語教師は日本語の授業を提供するのが主な仕事です。そこで重要なのが授業の準備。スムーズな進行のために、どのような授業準備をすればいいのでしょうか。日本語教師は授業準備が大変、と聞いたことがあるかもしれませんが、ポイントを押さえれば効率的に準備を進めることができます。この記事では、日本語教師が日々の授業準備で実際にどんなことをしているのか解説します。これから初めて教壇に立つ方、模擬授業を行う方の参考になれば幸いです。

カリキュラム内でのその授業の立ち位置や、ゴールなどの再確認

具体的な準備に入る前に、まずは自分が担当する授業内容の大まかな部分を把握しましょう。授業の目的や扱う項目、ゴールを確認します。クラスで使用する教材の指定がある場合には、その教材に目を通しておきましょう。チームティーチングの場合は前回までの引継ぎ事項を確認し、どこまで進んでいるかを振り返ります。

クラス授業では漢字・文法・会話・試験対策など、複数の内容を行うことが通常です。それぞれの重さ(何度もやっている部分の復習なのか、新出の内容なのかなど)を考えて、ざっくりした時間配分が決められるといいですね。

教案づくり

大まかな内容を把握したら、実際に教案を作ってきます。教案のフォーマットは人それぞれですが、

・時間配分

・大まかな活動分類(導入説明・プリントやワークシートを使った練習・ペアワークなど)

・使う教材

・各活動での講師の動き・発言内容

・学習者の発言・活動・想定質問

これらを時系列で書いておくと授業の流れが可視化できます。

 

教案を作る前にまず、導入する文法項目についての情報収集をしておきます。この段階では書籍・論文・インターネットなどを活用して、自分がその文法項目について理解を深めることが目的です。そのあとで、集めた情報の中でどれを授業で説明するのか(あるいは、しないのか)を決め、教案に起こしていきます。

授業と言っても、言語学的な細かい説明をすべてしなければならないわけではありません。学習者のレベルに合わせて、必ず押さえなければいけないポイントに絞って導入します。その際、抽象的な説明よりも「実際にどういう場面でどういう人が、どんなふうに使うのか」という具体的な例を挙げたほうが学習者にとって理解の助けになることが多いです。

特に初級の授業では、少ない語彙で新しい文型をどう説明するかがポイントになります。直接法の授業では、基本的に説明に使えるのは既習の語彙文法のみ。そのため、これまでの学習内容を確認し、学習者が知っている表現だけを使ってどう説明するかを事前に考えておく必要があります。

慣れるまでは、語彙や表現のコントロールをその場でしようとすると難しいことがあるので、「○○について説明する」などのざっくりした書き方ではなく、実際に自分が話すことを一字一句書いておいた方が安心です。説明が伝わらなかったり想定外の質問があったりした場合に慌てないよう、たくさんの例文や会話例を用意しておくと良いでしょう。

ある程度導入の流れが決まったら、次に練習やクラス活動を考えます。扱う文法項目によって、どんな練習が合うかが異なります。初級で多く取り入れられるのは、まずは活用形や文づくりの練習。基本的な形を繰り返し口頭練習した後、プリントなどで整理の時間を取ります。その後その文型を使った短い会話練習をペアワークなどで行い、最後にグループやクラス全体での活動につなげるという流れです。実際には一度の授業で2~3項目の文法を導入しなければないため、ゆっくりと時間が取れないことも多いのですが、模擬授業などでは一通り「導入→基礎練習→応用練習」の流れが取り入れられると良いのではないかと思います。

授業で使うスライド作成や生教材収集

教案がざっくりと完成したら、実際に授業で使う資料を用意します。説明に使うパワーポイントや練習用のプリントの作成、また、板書するのであれば「板書計画」と言って、どこに何をどのような順に書いていくのかなどのプランを作ります。

動画や写真・実物などを資料として見せる場合にはそれらの準備、クラスワークで発表させるような活動では、学生が使う模造紙やペンなどが必要になる場合もありますね。

自分が作成した教材の使い勝手は、実際に使ってみて初めて分かる部分も多いです。初めから完璧なものを目指そうとせず、まずは既存のものや他の先生の教材を参考に作ってみて、使いながら作り替えていくという心持ちでいいのではないかと思います。

 

・教材作成の際のポイント

1)多すぎず少なすぎず、授業内で消化できる量を

色々な教材を見ているとあれもこれも使いたくなるものですが、授業時間は限られているため、盛り込みすぎると消化しきれなくなってしまいます。予定外の質問対応などが発生することも考えて、時間に余裕を持たせて内容を絞りましょう。

2)教材同士の「住み分け」を

板書・パワーポイント、手元の資料やプリントなど複数の教材を作る際は、それぞれの目的を分けて考えましょう。パワーポイントに説明がぎっしり書いてあるのに、先生がそれを口頭でも説明しながら、さらに板書もしている…となると、学習者はどこに集中して良いのかわかりません。一度にいくつも情報を出してしまうと学習者の混乱を招くため、「情報は一度に一つずつ」を心がけましょう。

一回の授業で複数の教材を使う場合は、「次々と絵や短いことばを見せることができるパワーポイントは、口頭練習に使う」「活用形や文法のルールは板書して消さずに残しておく」など、それぞれの機能をある程度固定しておくといいでしょう。

例えば、パワーポイント・板書・プリントを使う場合。

まず、「パワーポイントで写真や場面を見ながら話を聞く/実物を見て自分の経験を思い出す」→「講師の問いかけや説明(講師を見る)」→「板書で重要なところを整理する(板書に視線が移動)」→「自分の手元のプリントで練習する」というように、学習者の視線や意識がどう動くかを意識しながら、それぞれの教材の使いどころを分けて決めておきます。このようにすると混乱が少なく、学習者も流れを理解しやすいので、講師の指示も理解しやすくなります。

3)文字サイズや情報量に注意

プリントやパワーポイントなど、文字中心の資料を作る場合は文字サイズや情報量に注意しましょう。モニターでパワーポイントを映す場合、パソコン上で見るよりも文字が小さく見にくいことがあります。教室の大きさが分かっている場合はあらかじめ教室のモニターにつないでみて、一番後ろの席から見えるかどうか確認しておくと安心です。

また、文字の量が多すぎて読むのに時間がかかり、読み切れないまま先生が説明を始めてしまった…ということがないよう、何を資料に書いて、何を口頭説明するのかなどを考えて調整しておくといいでしょう。

学習者が日本語を読むスピードは、初級前半であればネイティブの4~5倍、初級後半~初中級では3倍、中級以上では2倍~1.5倍くらいの時間がかかるという意識で、文字量を調整するといいかと思います。

ただし読解を目的とした授業や、中上級・上級など、読むことに慣れてきている学習者の場合はこの限りではありません。

 

アクティビティ(活動・タスク)の準備

授業の後半で行うことが多いクラス活動。主に、その日学習した表現を使って会話や発表などを行います。文法項目によって作文などの個人ワークが向いているもの、ペアワークやクラス全体での活動が向いているものがあるため、内容はその時々で合ったものを選びます。

・アクティビティの例

1)個人で行うもの・・・作文やその発表など

2)ペアで行うもの・・・会話練習、ロールプレイ

3)グループで行うもの・・・グループディスカッションや発表、日本語劇を作るなど

4)クラスで行うもの・・・自由に教室内を歩き回って互いにインタビューや自己紹介をするなど

学期末の発表など、準備時間が長く取れる場合にはグループでの調べ学習や発表、スピーチなどを行うのもいいですね。日々の授業の定着のための活動としては、ペアでの会話練習やロールプレイが使いやすいかと思います。活動のまとめの時間を設け、講師からのフィードバックも忘れずに行いましょう。

決められた項目をどのように授業としてまとめていくか、そして実際に作った授業案が効果があるものかどうかは、一人では評価が難しい部分です。

 

どのように授業としてまとめていくか?どのように流れを作るのか?というところはやはり実践がなければ身につきません。

日本語教師養成講座では、実際の授業をイメージした模擬授業などで、教材の使い方や授業の作り方を実践を通して学ぶことができます。クラスメイトの模擬授業などを見る機会もあるため、「学習者としての立場ではこう見えるのか!」という発見もあるかと思います。

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まとめ

いかがでしたか?

今回は日本語教師の大切な業務の一つ「授業準備」について解説しました。いろいろな授業を経験すると、だんだんと「どこに力を入れればいいのか?」「どんな準備が必要なのか?」「どこに躓きやすいのか?」といったポイントが見えてきて、授業準備も的が搾れるようになってきます。

これから模擬授業や教壇デビューで初めて教案・教材づくりに取り組むという方も、まずは自分なりに色々なやり方を試してみていただければと思います。きっと、そこから新たな発見や次の課題が見つかるはずです。

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この記事の筆者
TCJ・コラム執筆者写真
TCJ日本語講座 非常勤講師
大野 綾香
大学で日本語教育を学んだのち、日本語教育能力試験に合格。日本語学校で留学生の大学受験指導・プライベートレッスン、教材出版等を経験後、2023年よりTCJにて留学コース・ビジネスパーソンのプライベートレッスンを担当。好きな分野は地域日本語教育、音声学。

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