教案作りは、なぜ必要?日本語教育における教案の重要性とは
概要
教案と聞くと、難しいそうとか大変そうとかいうイメージがありますよね?
私自身も日本語教師になる前は、そういう印象でした。
実際に、養成講座で教案について学びましたが、自分の授業内容を文章化するということに頭を抱えたこともありましたが、教案は教師の相方であり味方となるものなので、今回は教案について分かりやすくまとめてみました。
教案とは何か?
教案とは、『教師が実際に授業をする前に作成するもので、授業についての計画案』のことです。
想像してみてください。教師が教室で授業をするときに、教科書片手に授業しているイメージがあると思いますが、なりふり構わず授業の流れやポイントを把握しているように思えますが、教師は授業前にしっかり準備して授業に挑んでいます。そのカンペのようなものが「教案」であり「教案作り」は教師にとって欠かせないものです。
つまり、教壇に立つときに教案がなければ、授業中何をすればいいか分からないことから、教師は自分用に教案なる計画案を準備します。
なぜ、教案を作るのか?
「教案は授業の台本だから面倒だと思わず、しっかり丁寧に書きなさい」と、養成講座に通っていた私も当時の指導先生から、よく𠮟られたものです。
そこで、教案作りが必要な理由を、下記3つにまとめました。
①教育目標を明確にするため
②今回の授業のフィードバックのため
③自身の授業の型を作るため
教案作りに慣れてくると、手元になくとも頭の中で描けるようになっていきますが、授業に慣れていないうちは、授業中に内容を見失わないように、混乱やパニックを避けるためにも、教案はしっかり作り込んだ方がいいと思います。
教案の作り方
何を使って教案を作るかですが、紙面として手書きで書く人もいれば、パソコンを使ってWordやExcelで書く人もいます。パソコンを使って教案を書く人が多い印象ですが、パソコンなら書き直しが簡単で便利です。
教案を作る上で、まず考えることは学習における目標・項目を決めます。授業のゴールを決めてから、逆算して積み上げていくイメージですね。
では、教案のひな型を参考に、見方について説明します。
・言語行動目標…「この課の目的、課の学びからできること」を書きます。
例:みんなの日本語 7課 日本語で何と言うか分からないもの、言葉を尋ねる
・提出文法項目…「この課の文法で学ぶ文型」を書きます。
例:みんなの日本語 7課 「~は…ですか?」
・授業の流れ…授業全体の台本(シナリオ)です。
場面や状況、教師と学生のやりとり、などを具体的に書きます。
・教具・板書等
授業で扱う絵カードやフラッシュカード、などの教材の準備タイミングや動きなどを書きます。
教案(例)を参考に、一度作ってみたら気付くことも色々あるでしょう。作った後に必要な事として、授業後に振り返りや気になったことを書き込む、など改善点を書くのもいいと思います。
教案を書く上でのポイント
初めて教案を書くときに必要なのは、何度も見返すことです。
教案の目的は授業ゴールを決めることですが、教案自体に正解はありません。ただ、作った教案が自分にとって良いものであるかどうかも大切ですが、学習者のためになっているかという点も大切です。
そこで、見返す際のポイントを、5つにまとめてみました。
・学習目標が達成できる教案になっているか
・教師が一方的に話している内容になっていないか
・全体の構成や展開の流れは、つながっているか
また、実際の授業では教案通りにいかないこともありますが、思ったより時間がかかってしまった、思いのほか早く授業が終わってしまった、ということも想定し、慣れないうちは、ある程度ボリュームを持たせて作っておく方が安心かもしれません。
まとめ
教案について色々と説明しましたが、教案を作り込みすぎてイライラしたりストレスを溜めることもあるかもしれません。ただ、教案を完璧に作り込んだとしても、その内容が授業に反映できなければ意味がないので、教案で描いたものを実演したりイメージトレーニングしたりすることも大切です。
また、もう一つ心に刻んでおいてほしいことがあります。
教案が教師の支えになることは全くもってその通りなのですが、全ての授業において、教案通りに授業が進むことが大切なのではないということです。
学習者のために完成させた教案を以てしても、全ての学習者を満足させられるわけではありません。学習者はこちらの想定通りに動いてくれるわけではないし、予期せぬことも起こります。そういった事態に備え、教案通りにいかないことも想定しておく必要があります。それは悪いことだけではなく良いこともあります。実際の授業の雰囲気や流れを見て、教案の内容を軌道修正することも必要だということです。
自ら完成させた教案に溺れすぎず、あくまで教案は計画案にすぎないということを肝に銘じて「先生にしかできない先生らしい授業」を信じて、取り組んでもらいたいと思います。
教案作りで参考になるサイト10選(イラスト教材サイト含む)
日本語教師にとって大変な「授業の準備」を助ける目的で作成されたサイトです。「みんなの日本語の教案」を中心に、単語やハンドアウトなどが公開されています。
日本語教師のための教案、教材、授業アイディアが紹介されています。JLPT出題の文型の解説・例文や、学校で起こった事、留学生とのやり取りや留学生の誤用例も掲載されています。
日本語の教え方や文法、JLPTなど日本語教育に関する情報が掲載されています。
「みんなの日本語」を使った日本語の授業にすぐに使える教材・資料・文法の授業に欠かせない例文・日本語能力試験(JLPT)対策問題・日本語学習ツールが提供されています。
日本語文法・自動詞他動詞・口語形・間違えやすい日本語・擬音語・擬態語などを「絵」で説明されています。
日本語を勉強している人や、日本語を教えている人のためのサイトです。日本語の文法の例文や、読みものがあり、すべてルビ(ふりがな)が振られています。
国際交流基金日本語国際センターが運営しています。日本語教育実践を支援するウェブサイトです。
独立行政法人国際交流基金 日本語国際センターが運営しています。このサイトでは、すべて無料で教材作成のための素材やアイデア、授業に役立つ情報を探したり、素材を通じて、世界各地の他のユーザーと交流したりすることができます。
超有名、かわいいフリー素材集です。ありとあらゆるイラストが掲載され、商用利用でなければ無料で使うことができます。
みんなの日本語などのそれぞれの課ごとにイラストが掲載されています。
アクションリサーチとは、日本語教育では、どのようにアクションリサーチが使われているか
この記事ではアクションリサーチに焦点を当て、その一般的な意味、言語教育での応用方法、具体例、そして日本語教育における効果について解説します。