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日本語教師になって海外で働く

「海外で日本語を教えてみたい。」
実際に海外で活躍している日本語教師には、この思いをきっかけに夢の実現に取り組んだという人がとても多いです。その志を果たし海外で日本語教師となった人の中には、そのまま海外に住むこともあれば、帰国して海外での経験を活かし国内の日本語教育機関で働く人もいます。

では、海外で日本語教師をするときに、具体的に何をして、どこで働くのか、その働き方や待遇などを、簡単にまとめてお伝えします。

目次

どこの国を選ぶ?

就労可能なビザの取得は必須

海外での滞在許可証であるビザはその資格に沿った活動だけが可能です。たとえば海外に半年間滞在する予定で滞在中に現地で仕事がしたいと思っていても、ビザの在留資格が「観光」であれば仕事をすることは違法です。留学ビザの場合は、資格外活動許可を得ていればアルバイトは可能ですが、週の労働時間数に制限があります。

ビザ取得サポートの有無の違いは?

ビザ取得サポートの有無は、その国の日本語習得への情熱と日本人滞在人数が影響します。
海外からの求人内容を見ると、ある程度の傾向があります。

東アジアから東南アジア、南アジア、西アジアなどアジア全般では、語学学校での常勤での募集が多く、ほとんどの場合、ビザ取得のサポートを受けることができます。取得のための費用を負担し、現地での申請のために仕事を休むことも可能、といった細かい配慮まで記載されていることも。

ヨーロッパやオーストラリアなどでは語学学校でも非常勤での募集が多くなっています。また公立の学校では日本語が外国語の一つとして教育に取り入れられているケースもよくありますが、学校ごとに見れば習得を希望する学生はごく少数です。前述した大規模な語学学校でさえもビザ取得のサポートは無いことから想像できるように、積極的に就労ビザを取得させてまで日本語教師を日本から呼び寄せる動きは珍しいようです。

就労ビザ取得のサポートをしてくれるか否かは、日本語を学習したい人の人数と、現地にいる日本人が希少かどうかが大きく影響しています。

待遇について

物価水準が高く、それに伴い給与水準が高い日本から飛び出し海外で働くのは、自分の夢とはいえ、やはり気になるのは待遇です。日本語教師の求人情報で有名な「にほん村」のサイトからいくつか挙げてみます。

中国・上海

月給:大卒7000RMB、大学院卒8000RMB、博士取得者9000RMB
年間10か月給与(夏休みの2か月給与なし)
2年に一度の昇給(最低月500RMB+)
年に1回往復航空券負担
市内寮無料提供(1LDK電気ガス水道料等学校負担)

中国・広東

基本給5,000元~
週休一日(労働節・国慶節・春節など休暇有)シフト制
住居無償提供(家具・家電・寝具類 付)(光熱費・水道費・電話代・インターネットは、本人負担)
ビザ取得費用支給
往復航空券支給
医療保険あり
希望者は、中国語講座に無料で参加できます

中国は待遇はいいとよく言われています。住居の世話、往復航空券がつくのが普通ですね。広東では無料の中国語講座がつくというのが魅力です。

韓国

月150万ウォン以上(週30時間、一日4~5コマ)
住居 (ワンルーム、各教師に一室)提供
往復航空券支給
健康保険支給 (保険金額の半分は本人負担)

こちらも住居、往復航空券が支給されます。健康保険もそうですが、住居など自分で探すのはまず大変ですから用意されているのが何よりもありがたいですね。

ベトナム

初任給月収1,310万ドン(住居費600万ドン + 実質手取り710万ドン)。これ以外に、夜間手当・代講手当(授業担当後の実績100~200万ドン)などがあります。賞与・一時金として合計2カ月(テト賞与含む)及び業績に応じた。
臨時ボーナス支給実績もあります。

手取りをきちんと示してあるのが良心的です。ここの学校は休日について細かく書かれていました。せっかくの海外生活ですから休日にはその国を旅行したいものです。

チェック、確認項目

海外ですから行ってから話が違ったということにならないよう、事前に気になることは確認しておくことが大切です。特に海外生活はなんといっても治安と健康管理が気になるポイントなので、住居の世話があること(歴代の日本語教師が住んだ家であればまず安心)と健康保険の手続きが入国時にはされていることは確認しておきたいですね。

また待遇には書かれませんが、おおよその生活費は知っておきたいものです。光熱費の合計、平均の食費といったところでしょうか。

知り合いの日本人がいればもちろんよいですが、その他の知る方法としてはJICAの説明会に参加する方法もあります。実際に世界中の国にボランティアとして派遣され、2年というある程度長い期間を過ごしてきた人たちの生の声が聞けます。JICAシステムとして、現地の公務員の給料に順じた金額が生活費として支給されるので、その数字でおよその生活費がわかります。

JICAのボランティアもおすすめ

日本村というサイトを例に、いくつかの待遇を見てみましたが、単独での就職活動ではなく、JICAのボランティアに参加するという方法もあります。JICAはボランティアという名前ですが、特に豪遊生活を望まない限り、現地生活費は支給され、国内での必要経費のための国内手当もあります。国内手当を特に使うことなく2年を過ごした場合、毎月55000円の貯金ができるわけで2年で130万円ほどです。住居も往復交通費も支給されますので候補のひとつとして考えてもよいでしょう。

JICAでの海外派遣ボランティアのデメリットとして、日本に帰ってきてからの就職が難しい、できないといわれています。が、日本語教師についてはそういった心配は売り手市場である限りないでしょう。海外での経験が生かされ、かえって採用の枠が広がる可能性もあります。

が、実際に帰国した後に国内で日本語学校等に就職した人の中には、自由な権限を持っていた生活からいきなりがんじがらめ(に感じる)のカリキュラムに沿うことを余儀なくされ、なじめず、短期間で辞めていくという場合もあるようです。海外生活体験者の誰にでもいえることの一例にすぎないかもしれませんが、頭の隅にとどめて置いてください。

JICAの詳しい待遇条件についてはサイトにてご確認ください。
https://www.jica.go.jp/volunteer/application/senior/support_system/treatment/

まとめ

子どもの手が離れた後に、海外で仕事をする。男女問わずこのことに躊躇ない人たちがこの業界にはたくさん存在します。まわりからの不安な声も気にせず世界に飛び出していくおもしろくて勇気ある人たち。ひとつの生き方として素敵です。

この記事の筆者
東京中央日本語学院(TCJ)
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