日本語教師は学校の掛け持ちはできるのか
概要
非常勤・常勤・専任・フリーランスなど多様な働き方ができる「日本語教師」は、いくつかの職場で並行して働くことができる仕事です。今回は「日本語学校の掛け持ち」について、複数の学校や会社を掛け持ちする際の働き方のイメージや、掛け持ちすることの利点や注意点を解説します。「日本語教師になったら掛け持ちも考えているけど、実際のところはどうなんだろう?」と考えている皆様にぜひ読んでいただきたい内容になっています。
非常勤教師は日本語学校の掛け持ちはできるのか?
日本語教師を「非常勤講師」からスタートする方は多く、複数の学校や日本語教育機関、あるいは別の業種の仕事などと掛け持ちして収入計画を立てるのも一般的です。掛け持ちにも色々なパターンがあるかと思いますが、よくあるのは日本語学校・日本語教育系企業・個人事業・別業界の仕事の組み合わせです。「日本語学校×日本語学校」「日本語学校×個人のオンラインレッスン」「日本語学校×日本語教育系企業」「日本語学校・日本語教育系企業×別業界」など個人の興味や経験に合わせて様々な組み合わせの方法が考えられます。
1)複数の日本語学校を掛け持ちする場合
例:学校A、学校Bでそれぞれ留学生のクラスを担当する、学校Aでは留学生のクラスを担当し、学校Bではビジネス層のプライベートレッスンやオンラインレッスンを担当するなど
2)複数の日本語教育機関や企業で異なる仕事を掛け持ちする場合
例:日本語学校で非常勤講師をしながら、日本語教育関連企業で教材出版や事務のアルバイトをするなど
3)日本語教育と他業種の仕事(自営業を含む)を掛け持ちする場合
例:週3日は他業界の仕事をし、残りの2日は日本語学校で授業を担当する
日本語学校で非常勤講師をしながら個人事業として日本語教師をする
主として別業界の仕事をしながら、平日の夜や週末だけオンラインレッスンを行うなど
掛け持ちをすることによってより多くの仕事の機会が得られ、業務の幅が広がります。また、当然ながら非常勤講師の場合は掛け持ちで仕事が増えれば収入面の安定にもつながります。しかし、スケジュールの管理や移動などで制約が出てきたり、必要な手続きが変わってくることもあります。
それぞれの配分を考えて、無理なくできるよう設計することが大切です。
掛け持ちする場合の1週間のスケジュール例
たとえば日本語学校AとBをそれぞれ非常勤講師として掛け持ちする場合。
日本語学校では一般的に午前・午後のどちらか、1コマ45分×4コマ=3時間が一回分のシフトになっていることが多いです。日本語学校Aで週2日(8コマ)、日本語学校Bで週1日(4コマ)を担当する場合、全体で週あたり12コマを担当することになります。
日本語教師は、教員の授業の質の担保・教育リソースの適切な配分と過重労働を防ぐ観点から、日本語教師歴が1年以上の教員は週に担当できるコマ数が週25コマ(単位時間)まで、日本語教師歴1年未満の場合は上限が週20コマまでと決められています。(1単位時間=45分以上)。ただ、この20,25コマという数字は週に4回以上クラスレッスンに入っている計算になりますから、実際には専任講師でも負担が大きいと言える数字です。
働き始めの新人の日本語教師であれば、授業準備に3倍~5倍の時間がかかると考え、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。初めのうちは週2~3日に抑え、余力が出てきたら増やしていくのが安全です。
例1 日本語学校2校で留学生のクラスを掛け持ちする例
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
| 午前 |
授業 (日本語学校A) |
授業 (日本語学校B) |
授業準備 | ||||
| 午後 | 授業準備 | ||||||
| 夜 | |||||||
授業は詰め過ぎず、空いた時間で授業準備や家庭の仕事を行えるようにします。これ以外の時間に他のアルバイトや時間単位の仕事をしたり、さらにオンラインレッスンや個人レッスンを掛け持ちで増やしていくことも可能です。
例2 プライベートレッスンや就労者向けのレッスンを中心に組み立てる例
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
| 午前 | 授業準備 | プライベートレッスン | プライベートレッスン | ||||
| プライベートレッスン | |||||||
| 午後 | |||||||
| 夜 | 授業準備 | 授業 | 授業準備 | 授業 | プライベートレッスン | ||
日本語学校での留学生向けのクラスは基本的に午前・午後での開講ですが、就労者・生活者対象のコースなどは夕方〜夜間の需要が高くなります。社会人の場合は仕事の合間や休日に習い事・趣味として学習するケースが多いため、一回当たりのレッスン時間も細かく、バラバラになります。
授業準備を短縮していくには経験が必要ですが、時間を上手に調整してレッスン数を確保すれば、主収入にすることもできるでしょう。
掛け持ちのメリット&デメリットは?
掛け持ちのメリット1:収入面での安定
まずは、単純に業務量を増やすことにより収入を増やせるという点です。また、忙しい時期と休みの時期が異なる働き先を掛け持ちすれば、業務量が安定し、月ごとの収入の差をなだらかにすることができます。
学校によってはテスト監督や採点、その他の学校の事務のアルバイトなどを兼任させてくれる場合もあるため、授業以外での収入を得られることもあります。
掛け持ちのメリット2:経験が積める
学校や企業によって強い分野があり、採用している教授法・教材なども異なることがあります。また、異なる学習者層をターゲットにしている学校・企業を掛け持ちすることで自分が対応できる学習者の層が広がり、業界の全体図が把握しやすくなります。
掛け持ちのデメリット1:手続きやスケジュール管理に注意が必要
掛け持ちする学校・企業、業務の種類が増えれば増えるほど、スケジュールの管理が大変になります。契約方法、給与体系や教育方針なども異なるため、間違いのないよう注意が必要です。また、当然ですが同じ業界の中で異なる学校・企業で働く場合は、一つの現場で聞き得た情報を別の現場で共有してしまうなどのことがないよう、法的な面でも注意しなければなりません。
掛け持ちのデメリット2:授業準備や体力面での負担がある
一日で複数の場所を移動してレッスンを担当するような場合は移動が多くなるため、通勤時間や体力面での負担が増えるかもしれません。
また、上でも少し触れましたが、日本語教師デビューしてすぐの間は授業準備に時間がかかります。初めから掛け持ちで週4~5日と授業を詰めてしまうと、自分の首を絞めることになりかねません。自分のやりたいことや金銭面も当然あると思いますが、まずは負担なくできる量から始めるのがいいでしょう。
掛け持ちする前に必ず確認すべき注意点
掛け持ちをする際は、契約の手続きや給与形態、採用時に必要な書類などが異なります。また、非常勤契約や業務委託契約を結ぶ場合は自分で確定申告を行う必要があるので、その点の管理にも注意が必要です。
【掛け持ちの際に確認しておきたいこと:手続き編】
・契約時の必要書類・資格等
・契約形態
・給与形態、支払日の違い
・交通費などの手当の適用範囲(掛け持ちで勤務先Aから勤務先Bに移動するなど、自宅-勤務先以外の移動をする場合、交通費が適用されない可能性があります)
・確定申告の「甲」「乙」の該当
・担当する最低コマ数や最大コマ数
・確定申告時の源泉徴収票の受け取り方法等
【掛け持ちの際に確認しておきたいこと:教務編】
・それぞれの学校のカリキュラム・スケジュールはどうなっているか
・連絡や引継ぎの方法はどう違うか
・使用している教材やシステムはどうか(紙媒体を使用しているか、すべてオンラインで完結しているかなど)
・(入社後自分で確認することとして)授業準備、休息の時間が取れるスケジュールが組めているか
トラブルや混乱を防ぐためにも、上記の点を参考に勤務計画を立ててみてください。
まとめ
今回は日本語教師の掛け持ちについて解説してきました。
これから日本語教師になることを考えている、これから掛け持ちを考えているという方は、契約形態やスケジュールをよく理解した上で、自分に合った働き方を計画してみてください。
学校や企業により、契約形態が直接雇用の場合と業務委託契約の場合とがあるので、事前に確認をするようにしましょう。
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参考・引用
文部科学省:「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」
https://www.mext.go.jp/content/20241015-mxt_nihongo01-000034783_1.pdf
文部科学省:「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項等の改定について(報告)」
https://www.mext.go.jp/content/20250303-mxt_nihongo02-000040687_6.pdf
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